こんにちは。
前回”gay“の語源について考えている中でフランス語の”gai“という単語がもともとの意味だろうというところで終わりました。
gai
[形]
プログレッシブ 仏和辞典 第2版の解説
gai, gaie /ɡe ゲ/➊ 陽気な,愉快な,楽しい.
réception gaie|にぎやかなパーティー
voix gaie|弾んだ声
comédie gaie|陽気で楽しい芝居
auteur gai|ユーモア作家
Il est toujours gai. (=joyeux)|彼はいつも上機嫌だ.
➋ ほろ酔い機嫌の.
Il est un peu gai.|彼はほろ酔いだ.
➌ 〔場所,色が〕明るい;〔天気が〕よく晴れた.
https://kotobank.jp/frjaword/gai
その際に参照したジェーン・バーキンのBébé Gaiがとても耳に残りました。
今回はBébé Gaiを訳してみたいと思います。
ジェーン・バーキンはロンドン出身のフランスで活動するアーティストです。
セルジュ・ゲンズブールのパートナーだったことや、エルメスの「バーキン」の由来になったことでも有名です。
彼女にとってフランス語は外国語です。
「フランス語はセルジュの腕の中で学んだ」と書かれた記事を読んだことがあります。
確かに早道です(笑)。
英語話者にとってフランス語の「R」の発音は難しいのではないかと推測します。
少しハスキーな声でたどたどしいフランス語を話すジェーンはコケティッシュそのもので、そこに魅了された男性は洋の東西を問わず多いのだと思います。
あ、コケティッシュという単語、普段何気に使いますね。イメージはなんとなくわかるのですが、言語化するとなると難しい感じがしました。
コケティッシュはフランス語のcoquetに性質、状態を表す接尾語の-ishがついたものと思われます。
では、フランス語のcoquetを辞書でひいてみましょう。
coquet
[形]
プログレッシブ 仏和辞典 第2版の解説
coquet, ette /kɔkε, εt/➊ 身なりに凝る,おしゃれな.
une Parisienne coquette|おしゃれなパリ娘.
➋ しゃれた,こぎれいな.
logement coquet|瀟洒(しようしや)な住まい.
➌ (異性の)気を引こうとする,色っぽい.
femme coquette|あだっぽい女
se montrer coquet|女性の気を引こうとする.
➍ ⸨話⸩ 〔金額が〕魅力的な,かなりの,相当の.
héritage coquet|かなりの遺産.
coquette
[女]➊ ⸨古風⸩ あだっぽい女,色っぽい女.
➋ 〖演劇〗 rôle de grande coquette 魅力的な若い女性の役.
プログレッシブ 仏和辞典 第2版プログレッシブ
要は「おしゃれで魅力的な女性」ということで間違いないでしょうか。(ざっくりしすぎかな)
では訳してみます。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=figoSFtyhjQ
フランス語 英語 Oh babe babe babe
Bébé gai
Je babe je babe je babe je babe
Je bégayeOh babe babe babe
Cheerful baby
I babe I babe I babe I babe
I stetterJ’ai les dents qui claquent
Comme l’Union Jack
Oh babe babe babe
Bébé gaiI have chattering teeth
Like the union jack
Oh babe babe
Cheerful babyOh babe babe babe
Bébé gai
J’ai tous mes mots qui rebondissent
J’en pronounce un il en
sort dix
Comme d’un fusil
mitrailleurOh babe babe
Cheerful baby
I have all my words bouncing
I say one he leaves ten
Like a machine gunOh babe babe babe
Bébé gai
Je babe je babe je babe
je babe
Je bégayeOh babe babe
Cheerful baby
I babe I babe I babe I babe
I stutterJe butte sur chaque
Syllabe patatrac
Oh babe babe babe
Bébé gaiI bump on every
Syllable patatrac
Oh babe babe
Cheerful babyÇa me porte gravement préjudice
Moi qui rêvais d’être une actrice
C’est bien fouru
j’en ai peurIt’s bad for me
I dreamed of being an actress
It’s well done I’m afraidOh babe babe babe
Bébé gai
Je babe je babe je babe je babe
Je bégayeOh babe babe babe
Cheerful baby
I babe I babe I babe I babe
I stetterMes baisers sont smak
Très aphrodisiaques
Oh babe babe babe
Bébé gaiMy kisses are smak
Very aphrodisiac
Oh babe babe
Cheerful babyLes garçons toujors plein d’malice
Dissent que jai la langue
qui s’devisse
Et que ça fait leur
bonheurBoys always full of mischief
Say I have the language that is being misjudged
And that makes them happy
話好きな陽気なフランス人の彼氏に、覚えたての彼氏のお国言語を一生懸命話している女性が浮かびました。
Bébé gaiと、bégaye が韻を踏んでいますね。
bégayerはフランス語で「たどたどしく話す」とありました。
ジェーン・バーキンのハスキーな声の魅力とあいまってとても可愛い歌だと思いました。
それからsmakという表現が気になりました。
キスを表すオノマトペとのことです。
ところで、歌詞の中に出てくる「ベイビー」はひとつ話すと10返してくる陽気な男性のようです。日本で言うなら明石家さんまさんみたいな男性でしょうか?
私も非常によく話す外国人と過ごしたことがあります。
最初はまったく聞き取れなかった言語が、彼のマシンガントークのおかげで聞き取れるようになった経験があります。あれは、ランゲージハイ状態とでもいうのでしょうか?
聞いているうちに話している内容が映像化して理解できるようになるのです。
話の内容はともかく、その瞬間は言語好きにとって、素敵な体験でした。
余談ですが、男性は外国人の女性にちょっとエッチな意味の言葉を言わせたい傾向がありますね。直接的な言葉ではなく、いわゆるスラングです。
私も若かりし乙女時代、ある言語で「鳩」を意味する言葉を言ってみろと言われ、得意げに発音したら、周りの男性がニヤニヤしていたという経験があります。
よくわかりませんが、何かを意味していたのでしょう。。。
こんにちは、まいこです。 筆者…
ベイビー、陽気で素敵な人
私は赤ちゃんみたいにくちごもるわ
たどたどしくガタガタ言ってる
口がイギリスの国旗みたいになってる
ベイビー、陽気で素敵な人
私の発音は飛びまくってる
私がひとこと話すうちにあなたは10話すのよ
まるで機関銃みたい
ベイビー、陽気で素敵な人
私はバブバブと口ごもるわ
いつも発音でつまづくの
ベイビー、陽気で素敵な人
女優にはむいてないかしら
でも悪いけど女優になれたわ
ベイビー、陽気で素敵な人
私はバブバブと口ごもるわ
でも私のキスの音を聞くと媚薬になるみたい
ベイビー、陽気で素敵な人
やんちゃな男の子たち
たどたどしいせいで誤解されることもあるみたい
でもそれがいいんだって
翻訳は筆者のオリジナルです。意訳を含みます。